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日記です

2月13日 海

父と母と私で海に行った。晴れていてあたたかい。犬や人やロードバイクとすれ違う。海が人を穏やかにさせている。

父は磯辺をぐんぐん進み、水際にしゃがみ込んで、水中をじっと見た。父がいるところまでいって、魚を探した。魚の姿は見つからなかった。父は「魚おらんな」と呟いたあと、ヤドカリがたくさんいることを教えてくれた。

ぼどんぼとんと音がして、そっちを見ると小さい男の子ふたりが、海に大きい石を投げ込んでいた。いたずらをしているみたいに楽しそうだった。

また音がした。「ボラ、ボラやぞ」と父が声を上げた。「あの子らがあんな遠くに投げれるわけないから、見てみ」と指をさした。魚が跳ねた。魚からしては何ともないのだろうが、退屈なんだろ俺を見ろよという感じがして、パフォーマンスかよと思った。なんだか分からないがその魚に本当にがっかりした。自分が3歳くらいの時だと手を叩いて喜んだのだろうか。はしゃいだほうがよいだろうかとか、いま自分は何歳だっけ、とか思った。最後に親と海を見たのは小学6年生だろうか。あの頃に受けた父と母の眼差しを思い出し、気恥ずかしくてそわそわした。

昼間の海は、人もまじまじと見てしまう。父親とボール遊びをする2歳くらいの男の子。散歩する老夫婦。車椅子の人。読書をする人。犬。ロードバイク。ベビーカー。子どもがつくった山。赤いスコップや黄色のバケツ、小さいおもちゃが山を囲んでいた。カップルがつくった山もあった。砂はあたたかいだろう。

これまで受けたあのやさしい眼差しにたいして、感謝をきちんと伝えたほうがよいだろうかと、帰りの車で考えていた。卒業を前にして、成人をまえにして、自分はまだまだ子どもだし、親との生活はまだまだつづく。