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日記です

友だちのかおるちゃん

かおるちゃん(仮)は、定時制高校で出会った友だちだ。去年の秋に同じクラスになった。気が合いそうだ!と直感して、警戒されないようにと、ニヤニヤして声をかけた。ナンパみたいで気持ち悪かったと思う。

会ったらなんとなく話すようになって、校外学習を一緒に回ることになった。

美術鑑賞をした。アダムとイヴが題材の絵を観て、「空が暗いから林檎をたべちゃった後なのかな」とかおるちゃんが言ったとき、なんだかすごい人といっしょにいるな…と感じたのを覚えている。ふたりでじっくり絵を観た。

それから、いっしょにお昼ごはんを食べるようになった。いまもそうだけど、あまり会話は弾まないし、毎回おなじ話題な気がする。おたがいの好きなものを紹介しあっている。かおるちゃんはツイッターとインスタを駆使して情報を仕入れていて、いろんなものを教えてくれる。かおるちゃんは本が好きで、絵にも興味があって、可愛いものが好きだ。2020年に催される美術作品展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(61作品すべて初公開!)に行く約束をしている。日本初来日のゴッホのひまわりをいっしょに観る…なんてすてき…

かおるちゃんが好きなものについて話す姿が好きだ。こちらの目をまっすぐに見て、「〜なの!〜なんだよ!」と良さを伝えてくれる。かおるちゃんはテキトーなことを言わない。嘘がない気がする。こちらの何気ない問いにも、ゆっくり時間をつかって正確に答える。なのでこちらもテキトーなことはしないよう慎重だ。

ぱっと見のイメージでは、「かおる」より「かおり」な感じがするけど、こういう真面目で真剣なところが「かおる」な感じがして、かおる(仮)とした。

かおるちゃんと友だちになれて嬉しい。

今年も奇跡的に同じクラスになった。お互い休みがちなので、会えることは少なかったけど、最近はふたりとも頑張っているのでよく会える。

この間、学校終わりに遊んだ。タピオカを飲みながら話した。それから本屋を回った(めちゃくちゃ楽しかった)。「どうしようか?」「なにする?」と言いながら、駅の周辺をぐるぐる回った。おたがい遊び方が分からない。けどとても気が楽で、たのしかった。ぐるぐる回ってからは、駅近のショッピングモールの外にあるベンチに座った。またぽつぽつとお話をした。

わたしがバイト先で媚びてるんじゃないかと嫌になるんだ、と話したら、かおるちゃんは「うーん」と頷いたあと、スマホを見た。ちょっと寂しいな、と思っていたら、かおるちゃんがバッと顔を上げて、「媚びじゃないよ!」と言ってくれた。いままで聞いたなかでいちばん大きな声だった。かおるちゃんもびっくりしていた。「媚び」の定義がよく分からず、スマホで「媚び」を検索していたようだった。テキトーなことは言わない、かおるちゃん。

長井短さんのコラムが好きなんだ、と伝えると、すぐにコラムを読んで「めちゃいいね!」と言ってくれた。長井短さんが夫の亀島一徳さんとやってる交換日記もオススメした。

それからわたしは意を決して、「交換日記しない?」と言った。かおるちゃんは驚きも戸惑いもせず、「しよう」と言った。こちらが面食らった。

「青春は向こうからやってこないよね」ということで、やりたいことをおたがい言っていった。下鴨神社納涼古本まつりに行くとかクリームソーダを飲むとか修学旅行をするとか、クリスマスプレゼントを贈りあうとか。交換日記のいちばん初めのページに書こう。

帰り際、かおるちゃんが「そういえばぬくちゃんと写真撮ったことない」と言ったので写真を撮ることになった。うれしかった。駅なかの大きなクリスマスツリーをバックに、写真を撮った。恥ずかしかった。インスタ映えなんて興味なかったけど(かおるちゃんも興味がない)、その写真を見返してはニヤニヤするので、インスタ映えもいいかもしれない。積極的に思い出をつくっていこう。