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日記です

ウイルス性結膜炎に気をつけろ

   

ウイルス性結膜炎になった。最初は左目が少し腫れているくらいだったのに、いまじゃ両目がカエルの目みたいに腫れて、真っ赤に充血している。

お医者さんによると、発症後1週間は感染力が強いので自宅療養とのことだった。

きょうの朝、発症後1週間を記念したので、受診しにいった。まず、自転車で眼科へ向かうだけでも辛かった。風が痛い。ジワジワとHPを削っていく。そして顔が醜い。でもって眼鏡。わたしは極度の近眼で、眼鏡を掛けると、目の縦幅は5ミリくらいになる。眼鏡をかけた自分が大嫌いで、いい思い出はなくて、わるい思い出はあるから、眼鏡で外へ出られなかった。

これは眼鏡でも外へ出られるようになれ!っていう試練なんだわ!神のお告げよ!と無理に考えた。

わたし本当は可愛いんです、と思わなきゃやってられない。わたし、本当は可愛いんです。仮の姿。いまはカエルなんです。

 

眼科に到着し、受付で症状について話す。「発症後1週間が経ったので、大丈夫か診察を受けに来ました」と告げると、「いやまだ炎症があるので出ちゃダメですね」と言われた。つづけて「目薬を差してから1週間は自宅で…」

だんだん絶望した。この顔でここまで来たのに。もしかしたらここに知っている人がいるかもしれないのに。もしかしたら好きな人がいるかもしれないのに。眼鏡を掛けたら、周りの人の視線すべてが分かってしまう、見られていないかもしれないけど、受付で自分の名前を述べた、あの名前、嘘ってことにできないかな。わたしは外国人、ヘンリー・マーガレット。

発症後1週間たったのに。どうやら勘違いだったみたいだ。まず前に診察してもらった病院がお休みだったからといって、違う病院を受診したのも良くなかった。ちゃんと説明聞いてればよかった。自分の都合のいいように解釈してしまって、やっぱ、ぜんぶ、自分が悪い。


感染するからだろう。人の少ない、受付すぐのイスに座るよう言われた。なんだここ!

受付カウンターの端。なんでここ!

いやいや恥ずかしい恥ずかしい、ここは招き猫とかが座るポジションだよ!なんで!

ううう…悔しい、虚しい、恥ずかしい。涙が出てきた。ボロボロ出てきた。これから1週間は外出禁止。大切な仕事に行けなくなってしまった。くそう、ウイルス性結膜炎、くそう。なーにがコンタクトの診察だよ、なーにが学校検診の再診だよ。なーにが、緑内障…それは…ごめんなさい。いや、もう大人になれ!ウイルス性結膜炎に負けるな!

頬に伝うこの涙には、ウイルスが混じっている。


 幽霊になりたかった。見える人だけ見えればいい。わたしは幽霊。でもってカエル。眼鏡はカバンの奥底。もう見えません、わたしは見えてないし、見えません。猫の刺繍がついたハンカチで、顔を隠した。


名前が呼ばれた。別の場所へ移動となった。隔離が必要らしい。すこしだけ救われた。部屋に着いて、わたしが泣いていることに、看護師さんは驚いていた。「どうしたの?痛い?」「なんか言われた?」と聞かれた。これを、今年18になる人間が経験するとは。小学生か。すこしだけ、見た目幼くてよかったー、と思った。


18歳、18歳、精神的に未熟だ。こんな18歳やだよ。

しばらくして、もう一度名前を呼ばれた。診察だった。


診察室に入った。麻酔の目薬を入れられて、上まぶたをひっくり返され、まぶたの裏も見られる。痛かった。とても痛かった。抵抗してしまった。18歳。


なんて恥さらし。麻酔が良いように効いていた。トローン。もう、わたし、どうでもいい。顔とか、どうでもいい。わたしは、きょうの看護師さんのように、ひとに、やさしくなる。


家に帰ってからは、干からび状態だった。取り返しのないことをしてしまった、なみだも枯れ果てた。

紅に染まったわたしを誰か慰めてくれ、目が真っ赤なんだよ、あぁ、スマホを手にし、先輩にLINEをした。

「暇やったら『エイリアンvsプレデター』一緒に観よう」といってくださった。

テレビ通話にして、スマホカメラをテレビ画面に向けて固定してくれた。上映が始まった。画質と音は荒かったが、うれしかったから、ずっと見ていられた。中盤に画面が止まったけれど、申し訳なかったので音声だけで楽しんだ。

映画が終わって、喋った。眼科でのことを笑ってくれて嬉しかった。オカルトの話とか、いっぱい話した。

このことを胸に、のこり1週間がんばるぞ。

みなさん、ウイルス性結膜炎にはお気をつけて。助言と、慰めることはできます。